●京鹿子娘二人道成寺
昼の部はなんといっても玉さま&菊之助さんのこれがメイン。一昨年見て大感激、今回もさらに磨き上げられて張り詰めた美しさ。何回か後頭部がぞぞぞっとしたのには我ながらびっくり。鷺娘もよかったけれど、こっちが好きかな。
肉眼、3倍のオペラグラス、8倍の双眼鏡(鳥見の後いったのだ)、ととっかえひっかえじろじろ、うっとり〜♪ 8倍で覗いて、玉さまがちょうどこっちに視線を投げたときには、まるで目が合ったみたいで、心臓がハクリとしたほどでありました。今回は3階とはいえ、どうにか花道のすっぽんまで見える席だったので、前回ぜんぜん見えずに悔しい思いをしたせり上がり&道行き部分も見られて満足。
菊之助さん、今回もがんばってました。ただ、やっぱり細かいところを比べちゃうと、固い! 扇子をひらひらひらと上から下へ下げてくるところとか、やっぱり玉さまはボールベアリングの玉が1.5倍ぐらい入っているかな〜、滑らかさがじぇんじぇん違うや。口紅もうちょっと丸く厚みを出して描けばいいのにな、あんまり薄くしてあるので、ちょっと冷たくなりすぎか。
蛇足:小学館から雑誌の『和楽』の特集なんかをまとめたムックで『坂東玉三郎 すべては舞台の美のために』(写真は篠山紀信)というのが4月に出るそうな。そうすると次は連載してた仁左衛門さんですね〜。そっちも急いでケロ〜♪ 写真は減らさないで全部載せてケロ〜♪
蛇足:道成寺の手ぬぐい撒き。もちろん3階なので関係ないね、と思っていたら、3階のB席ぐらいまで飛ばしてきた所化さんがいてびっくり。隣の知らないお姉さんと、思わず「すごいですね!」と。やれば出来るのね。
「歌舞伎vs文楽 対抗 手ぬぐい撒き選手権」とかやって、みんなで腕を磨いてくれないかな。そしたら安い席にも希望が出るもの。
●菅原伝授
松禄さんが生きた五月人形のようで見た目も動きもとってもよかった。松王、梅王のけんかもきれいな楽しい荒事でOK。
ただ、その後、話は大悲劇に進んで感動的なドラマになるはずが、前半がおもしろかっただけなのは残念。
蛇足:お父さんの白大夫の70歳のお祝い。息子の三つ子はまだ前髪付きということは20歳以下と考えていいのかな。とすると、お母さんは高齢出産×三つ子ショックで死んでしまったのであろうか?
●文七元結
落語から移植した話なので、ふーん、こうするんだあ、という興味が主。もちろん菊五郎さん、世話物安定して安心上手。三津五郎さん、吉右衛門さんは、ちょいと顔貸しに出ただけというもったいない使い方だったなあ。
蛇足:落語でもいつも気になる。お久ちゃんは、文七さんと夫婦にさせられちゃうわけですが。スーパーおっちょこちょいで、思い込みが激しくて、親や親戚がいないのはしょうがないとして、友だちもいない文七というのは、夫としていかがなものか。
まあ、話の結論は「二人はお店を開いてたいへん繁盛しました」となっているので、結果オーライ。超しっかりもので孝女のお久ちゃんが、夫にも尽くして大働きして盛り立てたってことでしょうね。文七のご主人もそこを見込んで、情けない粗忽者の文七を託した!?
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一、菅原伝授手習鑑 加茂堤、賀の祝
桜丸:橋之助
八重:福助
松王丸:染五郎
梅王丸:松緑
斎世親王:高麗蔵
苅屋姫:梅枝
三善清行:松江
春:扇雀
千代:芝雀
白太夫:左團次
二、京鹿子娘二人道成寺、道行より鐘入りまで
白拍子花子:玉三郎
白拍子花子:菊之助
三、人情噺文七元結
左官長兵衛:菊五郎
女房お兼:時蔵
和泉屋手代文七:菊之助
娘お久:尾上右近
角海老手代藤助:團蔵
和泉屋清兵衛:三津五郎
家主甚八:左團次
鳶頭伊兵衛:吉右衛門
角海老女房お駒:芝翫
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